
昨日、久しぶりに秋篠川に行ってみた。
薬師寺の東側、いつも沢山の鯉が集まっている釣り場がある。
ローバーの愛車(といっても自転車だが)を駆って行ってみると、案の定何十匹と群れをなしているのが橋の上から見えた。
ところがいつもはたいがい2,3人は見かける釣り人が今日はどこにもいない。天気も穏やかで土曜日でもあるのに珍しいこともあると思いながら竿を出した。独りで釣りをするのは何者にも煩わされずにのんびりと気分がいい。
しばらくすると対岸に高校生らしい少年が降りてきてリール竿で釣り始めた。大勢の釣り人に混ざって釣るのも常連の顔なじみがいたりして賑やかでまた楽しいものである。しかし二人だけというのは何となく相手を意識して居心地が悪い。どんな仕掛けを使ってるのか、餌は何かなど気になり、向こうが先に釣り上げると何か遅れを取ったような気がする。
そんなことを気にしていたら川岸の土手から独りの男の人が降りてきて私の横に座って「釣れますか?」と聞いてきた。
「いや、全然、食いが悪くて・・」
魚はたくさんいるのに確かに食いが悪い。
ところがそう言った途端にウキがグッと沈んだ。合わせると確かな手応えがあったがそれほど暴れずに引き寄せられた。寒いと鯉も元気がないのか・・・40cmほどの中くらいの鯉だった。
それでも、男の人は「こんな大きな鯉が釣れると面白いですね」と言う。ふと顔を上げると高校生がこちらを見ていた。まずはこちらの一勝と、ちょっと安心した気分になる・・・大人げない心理である。